「Insta360 ONE RS 1-INCH 360 EDITION」を最速レビュー。「Insta360 ONE X2」との比較も!
映像制作 合同会社ジーンの近藤将人です。
この記事は、2022年7月29日分公開のYouTube投稿を編集作成したものです
2022年7月に発売されましたInsta360最新モデル「Insta360 ONE RS 1-INCH 360 EDITION(以下「1-INCH360」)」を紹介します。「1-INCH360」はInsta360特有の、レンズ交換式のアクションカメラ「Insta360 ONE RS(以下「ONE RS」)」の追加モジュールとして開発されました。
レンズ2つで360度撮影ができるカメラの中では、センサーサイズが1インチと大型なので美しく撮影できるのが大きな特徴です。
今回は、2020年に発売された、Insta360の中でも人気の小型360度アクションカメラ「Insta360 ONE X2(以下X「X2」)」と違う点も併せて解説します。
ボディの比較
レンズカバーを外すとこうなります。
レンズは明らかに大型化しています。
レンズ:ライカと共同開発
レンズはライカと共同開発した「スーパーズミクロン」を2基搭載しています。2022年3月に発売された「ONE RS」にも片側にライカレンズが付けられるモジュールが発売されていましたが、今回360度カメラに搭載されたのは「1-INCH360」が初めてです。
センサーサイズ:1インチで暗所撮影も強化された
「X2」が1/2.3インチセンサーに対して、「1-INCH360」は1インチです。
小型360度カメラが従来苦手だった暗めの撮影でも、かなり美しく撮影できるようになりました。
解像度:動画・写真ともにアップ
「1-INCH360」は動画撮影時の解像度がアップしています。
「X2」は5760×2880の5.7Kでの撮影でしたが、「1-INCH360」は5888×2944の6Kで撮影できます。数値上では若干の差ですが、センサーが大きくなったので暗所ノイズ耐性が強くなっています(撮影動画を見る)。
写真は「X2」は6080×3040、「1-INCH360」は6528×3264なので、大きくなりました。
「ONE RS」ならでは。交換可能なパーツ
「1-INCH360」は「ONE RS」から派生している機種なので、レンズ交換できます。
このようにパーツが外れます。
「ONE RS」のコアにレンズとバッテリーを付けると、従来の「ONE RS」として使用可能です。また「ONE RS」ユーザーはレンズだけで別で販売しているので購入すれば使えます。
また「ONE RS」の前モデル「Insta360 ONE R(以下「ONE R」)」でもレンズとバッテリーを購入すれば使えるようです。
専用バッテリーになので、追加購入したい際も別で入手可能です。出力の低いUSB充電器で給電したら、バッテリー単体でも充電できました。
パーツの組み立て方
このように組み立てます(動画で確認する)。
映像クオリティ:切り抜き編集でユニークな動画も可能に
「1-INCH360」になって解像度が上がったので、360度から切り抜いて編集しても良い感じでした。画質が低く感じる時もありますが、「1-INCH360」はこんなふうにかなり面白い使い方もできますよ(TikTokを見る)。
大型センサーサイズのお陰で、照明を使えない暗めの場所でも使えるのは良いですよね。
仕事で使える?実際に使ってみました
仕事で使用した感触では、「X2」と比べてISO感度を上げなくても撮影できました。現場でスマホのプレビューを確認する場面でも美しさを感じられましたね。
このあたりは別途動画にしますのでぜひご期待ください。
搭載機能が変更。「X2」からの変更点
「X2」と「ONE RS」シリーズは、根本的にコンセプトが異なります。搭載されていない機能があったので紹介します。
防水性能:水中撮影はNG
「X2」では、10mの防水機能によって、自撮り棒に付けたまま海やプールに飛び込んで水中に入っても撮影ができます。
「1-INCH360」はコアを分解する形状なので、水中につけるような使い方には対応していません(水がかかるのは問題ありません)。防水等級はIPX3です。
HDR動画撮影:搭載されず。個人的に残念
HDRとは、ハイダイナミックレンジの略です。
「1-INCH360」はHDR動画撮影ができなくなっています。
「X2」は動画も写真もHDR撮影ができます。
HDRになると手ブレ補正が効かないので、使いにくいと感じました。
ステディカムモード:搭載されず。個人的に残念
ステディカムモードとは、前方150度ほどを広角で切り抜いて普通の動画で使える機能です。
「ONE X」シリーズにはありましたが、「1-INCH360」では無くなりました。
「ONE RS」のモジュールでレンズを変えればアクションカメラのように使えるので、”レンズを変えて使ってね”という意味でステディカムモードがカットされてるのかなと思います。
編集上で切り抜いていく作業が必要になりますね。
個人的には、パッと撮れるのが楽しかったので残念です。
フライスルーモード:バレットタイムと共に搭載されず
フライスルーモードとは、すり抜けて、一回録画止めて、すり抜けて…の、マイクロドローンのような特殊な撮影機能です。
「1-INCH360」には無くなっていました。
また、ボディに紐をつけてぐるぐる回してユニークな動画が撮れる機能の「バレットタイム」も無くなっていましたね。
ハイフレームレート撮影:基本30fpsでの撮影
ハイフレームレート撮影とは、フレームの数が多くなるので滑らかな映像が撮れる機能です。
「X2」では、4K50fps撮影と3K100fps撮影ができましたが、「1-INCH360」ではできなくなっています。6Kと4Kは25fpsと24fpsで撮影可能です。
「1-INCH360」では、基本30fpsでの撮影となります。3Kで50fpsです。
センサーサイズが大きくなったので、読み出し速度に影響を受けてハイフレームレート撮影ができなくなっているのかなと想像します。
4Kでも30fpsなので、動きが大きい時に最低でも60fpsは欲しいですね。
次期モデルまでには4K60fpsができればヘッドマウントディスプレイでの視聴が滑らかになるので、ここは期待しましょう。
バッテリー容量:もちが弱い印象
「1-INCH360」のバッテリー容量は小さくなりました。「ONE RS」の派生機種なので、コネクターの関係があるのかと思います。
「1-INCH360」は1350mAhで、「X2」は1630mAhです。
消費電力の体感では、長くはもたない印象があります。
長時間撮影は試していませんが、撮影したり電源をオンオフした場合は、もち時間が1時間ほどの体感です。そのため、こまめな給電が必要です。またスマホとカメラを随時通信しながらの撮影では、バッテリーはあまりもたないかと思います。
充電しながら撮影した時は、ボディの下部にあるコアが熱を持つ印象がありました。屋外撮影だと手で持てないほど熱くなったので、燃費が悪いのかもしれません。
バッテリーを頻繁に変えて解決する方法もありますが、ケースから外すにも手間がかかる構造なので、取り回しは悪くなった印象があります。
収録マイク:ステレオ収録のみ
「1-INCH360」はステレオのみの収録です。
「X2」は4マイク360度オーディオ対応していましたが、「1-INCH360」は「ONE RS」のコアと同じなので4マイクにはならないですよね。
販売価格:「X2」の2倍
スペックが高くなった分、値段はだいぶ高くなりました。
公式ストアでは、「1-INCH360」は118,000円、「X2」は55,000円と、倍以上となりますね。アクションカメラの感覚で使おうとすると、なかなか高額なカメラだと思います。
「ONE RS」のコアを持っていた場合は96,600円です。
カメラを使い分けて楽しもう!
個人的には、「1-INCH360」と「X2」は用途が大きく異なります。
「X2」はアクションカメラとして使う場面が多いですよね。バイクやスキー、水辺などのアクティビティでも撮影できるので、どんな環境でも使えます。
ボディもコンパクトなので自撮り棒につけても楽しめますね。
「1-INCH360」は、手に持つとかなり大きく感じます。”カメラ持ってるな!”という感じです。
自撮り棒の推奨サイズは70cmでした。
乗り物に装着して撮影するよりは、ハイエンドの360度カメラとして使うのが適しています。アグレッシブに使いたい方には、あまり向かないカメラです。
「1-INCH360」は、しっかりした360度カメラで撮影し、編集で切り抜いて使う時には美しい画がつくれる良いカメラです。
他社カメラとの比較も解説予定
各種Insta360の比較動画に興味ある方が多いので、「1-INCH360」の動画も作る予定です。
最近のモデルで比較されやすいと言えば、KANDAO社の「QooCam 8K Enterprise(クーカム8Kエンタープライズ)」もありますね。
「1-INCH360」の解像度が6Kに対し、「QooCam」は8Kです。センサーサイズも大きいので、こちらも検証予定です。
ついに大型センサーを搭載した小型360度カメラで撮影できる時代になりました。
最近「1-INCH360」のような中型モデルはあまり発売されていないので、ハイエンドクラスの360度カメラが発売されるのは嬉しいです。
公式サイトでも映像を切り抜いたサンプル動画があるので、ぜひご覧ください。
▼今回紹介した機種はこちら
・Insta360 ONE RS 1-INCH 360 EDITION
・Insta360 ONE X2
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【執筆者紹介】
近藤将人
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