Panasonic 最新ビデオカメラ 「HC-X2」「HC-X20」体験感想+業務機「AG-CX350」との違いも解説
こんにちは、VR 映像クリエイターの近藤将人です。
今回は、2023年10月20日に発売されるPanasonicの「HC-X2」と「HC-20」です。
店頭体験で触ってきたのでお伝えします。
3連リングの付いているビデオカメラを、これから購入しようという方もいると思います。同性能のカメラと比較しても、価格が抑えられています。ビデオカメラを使ってる方だけでなく、新しくビデオカメラを購入検討している方にもわかりやすくお伝えします。
この記事は、2022年10月7日分公開のYouTube投稿をテキストに編集してお届けしています。
目次
「HC-X2」と「HC-X20」の違いを、プロがわかりやすく解説
カタログを見ながら話します。
まず、Panasonicは業務機と民生機の2つのラインがあります。
「HC-X2」「HC-X20」は民生機ラインの上位機種です。
現行モデルだと2連リングの小型のビデオカメラ「HC-X2000」がありますが、「HC-X2」「HC-X20」は3連リングです。
「HC-X2」と「HC-X20」の違いをお伝えします。
価格帯
「HC-X2」の方が上位モデルで、すべての機能が詰め込まれています。
店頭予想価格は383,000円前後です。
「HC-X20」は必要な機能を残して価格を抑えています。
店頭予想価格は329,000円前後です。
(価格はAV watch「パナソニック、1型センサーで光学20倍の4Kビデオカメラ「HC-X2」より引用」)
出力端子
「HC-X2」は3G-SDIが搭載されています。
「HC-X20」はHDMIのみです。
タイムコードのインアウト
「HC-X2」にはついてます。
「HC-X20」はついていません。
LAN端子
「HC-X2」にはLAN端子がついているので、そのまま有線での配信が可能です。
「HC-X20」はついてませんが、変換をつければ有線での配信が可能です。
ガンマモード
「HC-X2」はV-LogとHLGに搭載されています。それを含むガンマモードが10種類あります。
「HC-X20」はV-LogとHLGが搭載されていないので、8種類です。
バッテリー
「HC-X2」は稼働時間が付属バッテリーだと3時間50分です。
「HC-X20」は4時間25分と、35分も違います。
デュアルコーデック記録
「HC-X2」のみ搭載されています。SDカードが2枚刺さりますが、スロット1に4Kを収録して、スロット2にフルHDを収録するような、別フォーマットで同時収録が可能です。
「HC-X20」はこの機能がないので、同じコーデックのものを2枚に収録するようになります。
HDMIとタイムコードが不要なら「HC-X20」
・HDMI出力しか使わない方(端子がHDMIしかないため、SDIが不要の方)
・タイムコードの同期をしない方(記録用として使用する方)
は、「HC-X20」が便利です。
どちらも大きいバッテリーを使えば長時間の録画が可能です。バッテリーライフが「HC-X2」より35分長いので、付属バッテリーでたくさん収録できるのはひとつの特徴です。
ビデオガンマで収録して、そのまま撮って出しで1台でバシバシ撮影する場合は十分です。
3連リングのカメラを、上位モデルと画質変わらずに32万円ほどで購入できるのは他メーカーでも存在しません。
これからはじめる方であれば、この性能で十分な方もいると思います。
複数台の購入を視野に入れている方は、「HC-X2」を2台購入した場合と比べて価格差が10万円ほどとなります。
業務機に近い高スペックなら「HC-X2」
上位モデル「HC-X2」は、完全に業務用のカメララインで使用する方向けです。
ポイントは、SDI出力とタイムコードのインアウトがついている2点です。
SDI出力がついているのでほぼ業務機に近いスペックを兼ね備えています。HDMIだと長く引き回せません。また、ケーブルロックもかからないため不安があります。
「HC-X2」はタイムコードのインアウトがついているので、マルチカメラ撮影がやりやすいです。
またLOGやHLGも使えるので、ドキュメンタリーなどの作品撮りのために後からグレーディングをする際は便利ですね。
「HC-X2」の方が使い方の幅が広いので、便利です。
「HC-X2」と、業務機ライン上位機種の「AG-CX350」の体感比較も
次は、業務機ライン上位機種の「AG-CX350」を使ってる僕が、「HC-X2」を触ってみて良かったポイントを紹介します。
ズームリング:電子接点特有の滑らかさ
電子式なので、回した速度に応じてリングが変更されるタイプです。
物理的にレンズが伸びる仕様ではないので、電子接点特有の滑らかさがあります。ズームのイン・アウトの感触で、どのくらいレスポンスがあるかがカギです。
この感触は、各カメラでフィーリングが異なります。個人の好みもあるので選ぶ上で重要ですよね。
「AG-CX350」は、実際に動かす感覚とズーム速度に、微妙なズレを感じています。激しくズームする場面ではもたつきを感じるかもしれません。
このズレは、「HC-X2」は良くなってました。激しくズームを使わなければ、さほど気にならないかと思います。
この感触は触ってみるのがベストなので、ぜひ店頭で体験してください。
ディスプレイ:きれいになった
「HC-X2」は、付属のディスプレイが使いやすくなりました。「AG-CX350」はモニターの見え方が良くないのですよね。
「HC-X2」は画面も大きく見やすくなっているので、付属のディスプレイだけでフォーカスが合わせやすく、とても見やすいと感じました。この写真ような姿勢で使うときもよくあるので、HCXシリーズはあらゆる場面でも見やすくなってると思います。
設定まわりのメニュー:基本変わらず
「HC-X2」の設定まわりのメニューは、「AG-CX350」とほぼ同じです。
「AG-CX350」ユーザーは、すんなり使えそうです。初めての方も使いやすい仕様です。業務機を買い足しする方も問題なさそうです。
設定は細かく増えています。
「HC-X2」の開発にはLUMIXチームが入っているので、LUMIXと混ぜて使う際のパラメーターも追加されています。ガンマモードで「スチルライク」というLUMIXカラーを意識した設定が追加されました。
ズームリング:LUMIXに慣れている人には違和感?
ズームリングは、回転方法・角度を調整できるようになりました。
「HC-X2」のズームレンズの回し方は、LUMIXレンズとは逆方向です(動画で確認する)。
LUMIXに慣れている人は、ちょっと違和感あるかもしれません。ズームを反対方向で回せるように設定する機能もあったので、LUMIXユーザーやスチルから来ているカメラユーザーに優しい設定になっていますね。
「HC-X2」の惜しい点
ここからは、HC-Xシリーズを初めて入る人にとってはあまり気にならないけど、他社メーカーの業務用ラインのカメラを使ってる方は違和感を感じであろう箇所を紹介します。同じく「AG-CX350」と比較します。
ディスプレイ:収納方法、皆さんはどう思う?
「AG-CX350」のディスプレイは、回転しながら開閉するタイプです(動画で見る)。
「HC-X2」「HC-X20」は、横からスライドして開閉します(動画で見る)。
今回のような収納タイプの問題点は、ディスプレイを開いた状態で移動する時に、ディスプレイが衝撃を受けたら上下には動かないことです(動画で見る)。この場合、下から衝撃があると壊れる可能性があります。「AG-CX350」は上にチカラが逃げるのですが、「HC-X2」「HC-X20」は上下には動かないので、破損リスクが増えるのかなと思いました。
操作性面では、「AG-CX350」はカメラ上部に移動ボタンやサムネイルを出すボタンがありますが、「HC-X2」「HC-X20」には同じ場所にはありません(動画で見る)。
なので、メニューを操作しようとすると、横のダイヤルか、
タッチディスプレイで操作する必要があります。
これから使い始める方にとっては問題にならないと思いますが、既存ユーザーは違和感あると思います。
持ちながらの操作だと、トップハンドルで持っている時に、横のダイヤルで調整するのが意外に面倒です。既存ユーザーの方は、慣れてると上部の方が操作しやすいと思います。
タッチディスプレイでも操作はできますが、冬場での撮影で手袋をしていると使えないので不便です。物理ボタンで押したほうが操作性が良いはずですよね。若干使いにくいなと思いました。
他社みたいに上部にジョグダイヤルがあれば使いやすいのですが、この辺が個人的にはボタンが少なくなっているので操作性が低く感じました。
SDIとタイムコードの端子:ケーブルの位置が…
「HC-X2」「HC-X20」は、SDIとタイムコードの端子が横についています。
「AG-CX350」は後ろについてます。
「HC-X2」「HC-X20」の端子が横にあると、微妙にケーブルが手に当たるんですよね。
横についてるから、使いにくいのではないかなと思いました。
三脚での使用やL型のBNCだったら良いのかもしれないのですが、個人的には後ろから出てたほうが絶対使いやすいです。
GAINとホワイトバランス:切り替えが地味にストレス?
「HC-X2」「HC-X20」では、GAINとホワイトバランスの切り替えが、スイッチではなく物理ボタンになりました。
業務用ビデオカメラでは基本的に、GAINを3段階で調整します。これが良い点は、スイッチを切り変えればすぐに明るさを変えれることです。
シチュエーションが繁盛に変わる場合、このスイッチでパッと変えられます。3段階でクリック式なので、感覚的に今どの明るさかが把握できます。明るさを固定する場合は気になりませんが、瞬時に変えなければいけない場合に便利です。
「AG-CX350」はスイッチ式なのでホワイトバランスのA・B・プリセットの切り替えが容易にできますが、「HC-X2」「HC-X20」は、A・B・プリセットの切り替えが物理ボタンのため、何度も押さないとできません。その時どのメニュー設定なのかを確認する作業は、とても使いにくいように感じます。
「HC-X2」「HC-X20」だと、ドキュメンタリーなどの長回し撮影で瞬時の切り替えが必要な時に、設定の切り替えが地味にストレスになりそうです。
ボタンで切り替えられるので、ホールや会議室での撮影など場所や明るさが決まっている場面では気にならないと思います。そういう場合は「AG-CX350」を選びましょう。
30万円台での新しい選択肢が増えた
「HC-X2」「HC-X20」は、ライブ配信や長時間撮影などでの業務利用が多いかなと思います。普段ミラーレスしか使っていない方やシネマカメララインを使っている方が、新しい選択肢としてビデオカメラを30万ほどで購入できるのは良いですよね。
仕事で使うとあらゆる場面で使えるので、最高に便利です。長時間録画しても安定感があり、確実な撮影が可能です。
リングを使ってのズームやフォーカス、アイリスなどの操作面はビデオカメラでないとできないので、仕事で必要だという方も多いと思います。
「HC-X2」「HC-X20」はコストパフォーマンスの高いカメラだと思いました。
どれを買う?僕の場合
「AG-CX350」をすでに持っている僕が買うとしたら、SDIとタイムコードが必要なので「HC-X20」よりは「HC-X2」が欲しいかなと思います。
ただ、「HC-X2」に5万円プラスすれば「AG-CX350」を買えてしまうので、こちらも悩ましいですね。
ビデオカメラの存在感は仕事でも意外な評価も
Panasonicのビデオカメラは、配信で混ぜて使いやすいので重宝しています。
また存在感があるので、クライアント様にも「撮影してる感」を与えられるカメラです。適材適所でミラーレスとビデオカメラの特徴を活かして使いたいですね。
最近人気のカメラは手に入れられないこともあるので、早めの購入が良さそうです。
いつもYouTubeではミラーレスの話題が盛り上がりますが、ほぼ業務用でしか使わないカメラのレビュー動画は非常に少ないので、参考になったら幸いです!
▼今回紹介した機種はこちら
【執筆者紹介】
近藤将人
合同会社ジーン代表
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