入手困難?音声レコーダー「Zoom F8n Pro」をレビュー。F3とF6の比較も
この記事は、2022年4月12日分公開のYouTube投稿を編集作成したものです
こんにちは、合同会社ジーンのVR映像クリエイター近藤将人です。
今回は、ZOOMの新しいマルチトラックフィールドレコーダー「Zoom F8n Pro(以下「F8n Pro」)」の紹介です。
以前とても話題となった「Zoom F3」と同様に、「F8n Pro」も32bit float収録可能なレコーダーです。
僕はZOOM社製品ユーザーなので、「F8n Pro」と「Zoom F3」の使い分けや違いもユーザー目線からわかりやすく解説します。
「ZOOM F3」解説をご覧になりたい方は、こちらも併せてどうぞ!
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目次
「ZOOM F8n Pro」について
8チャンネルレコーダーは、「F8」、「F8n」、「F8n Pro」と進化を遂げてきました。
今回取り上げる「F8n Pro」のボディは、こんな感じです。
「F8」が発売された当初は、”8チャンネルのマルチレコーダーなのに価格が10万円台”という安さで、非常に売れたモデルでした。
フィールドレコーダーで複数チャンネル、かつ操作形態バッチリしているモデルは通常30万円近くしました。その点「F8n Pro」は、安価でも性能の高い機能が盛り込まれているのが特徴です。
「F8」「F8n」と「F8n Pro」を比べてみましょう。
まず「F8n Pro」は、32bit float収録ができるようになりました。それ以外は変化ありません。32bit収録が必要なければ、過去モデルのユーザーは買わなくても大丈夫だと思います。
最近ZOOM社の32bitのレコーダーが慣れている方で、収録チャンネルがもっと必要だという方には、かなりお勧めです。
本体説明
「F8n Pro」は8チャンネルのコンボジャックが搭載されています。
片側に4チャンネル
もう片側に4チャンネル付いています。
拡張機能のマイクロカプセルも付いているので、ZOOM社の2チャンネルマイクやマイクカプセルの追加もできます。
ココ(下写真の指部分)にはBNCの端子が付いています。タイムコードのIN/OUTもちゃんと付いてるので、フィールドレコーダーとして音声と別で映像を収録すれば、有線でタイムコードも簡単に合わせられます。
アウトプットも
・mini XLRで2チャンネル
・ヘッドホン端子
・SUB OUT 1/2
と充実しております。
ルーティングの自由度が高いので、音声送りも使いやすいです。
「F8n Pro」の強みは、各チャンネルは送信する・しないを個別で設定できて、かつ収録中に音声を外部カメラに出力できます。
所有Fシリーズ
冒頭でもお話した通り、所有しているのは「F8n Pro」と「F6」、本日音声収録をしている「F3」です。最近はこの3台をレコーダーとして使ってます。
YouTubeの収録は「F3」を使っています。
YouTubeでは基本1チャンネルしか使わないので、「F3」のコンパクトなサイズ感はとても使いやすいです。
「F8n Pro」はSDカードがダブルスロットル
だいたい僕が仕事で使う範囲だと3〜4チャンネルほどを使っているので、「F3」では足らないのですよね。だから仕事では、6チャネル入力できてSDカード部分がダブルスロットな「F8n Pro」を多用しています。
「F6」はSDカードがシングルスロットなのです。つまり、2スロット収録することができないのでバックアップが取れないんですよね。
バックアップを取りたい時に据え置きで使ってPCも置けるような状況だったら、”PCと繋げて「F6」で回す”という方法があります。でも、ドラマのような屋外収録や、現場でパソコンを展開できないようなシチュエーションの時には、シングルスロットでしか記録できなくなるので不安です。
「F8n Pro」はSDカードはダブルスロットなので、信頼度が非常に高いです。やっぱりSDカードって、いつ壊れるか分からない部分もあります。ダブルスロットは非常に安心。
撮影現場で使っている時にエラーが起きないか、コードが抜けないか、などの物理的な問題はかなり重要視しています。
「F6」はラインアウトでステレオで出力ができます。
「F8n Pro」ですとmini XLR端子で物理的にロックがかかるので抜けないようになっているんですよね。
端子の信頼性と自由度
-「F8n Pro」の信用度
あらゆるエラーを回避できるので、やはり「F8n Pro」は信頼度が高いです。
「F8n Pro」を使う時は、バッグに入れて背負った上で音声をカメラに送ったり、別の機器への送ったりと、基本立って動いているシチュエーションが多いです。
その際に他のレコーダだと
・接触不良でノイズが乗ってしまう
・収録中にコードが抜けてしまう
と、撮影現場進行が滞ってしまう可能性が高くなってしまいます。
また、ヘッドホンをレコーダーに挿している時に
・物理的にコードが抜きにくい
・接触が悪くなる
・ピンが折れてしまう
という可能性も出てきます。これらが起こってしまった場合、ヘッドホンで聴くことができなくなってしまいます。
これを防ぐためにも、mini XLR端子のある「F8n Pro」はとても重宝するんですね。
「F8n Pro」は、XLRとフォーンのコンボジャックで両方挿さるようになっています。
仕事現場では、急に第三者の機器をレコーダーに入力するケースがよくあります。このコンボジャックを採用している「F8n Pro」はどんな局面でも使えるんです。
もちろん、「F6」もコンボジャックへの変換を持っていけば対応できます。
でも、端子に繋げる要素を増やせば増やすほど、エラーが起きる確率はどんどん上がります。”XLRもフォーンもそのまま挿せる”という意味では、コンボジャックを採用している「F8n Pro」の方が優秀なんです。
操作性の高さ
アクセス周りを見てみましょう。
「F8n Pro」に電源を入れてみましょうか。
ディスプレイが大きくなっているので非常に画面が見やすいですね。
メーターなども非常に視認性が高いです。
「F8n Pro」は、片手で全操作ができるのがとても良いんです。
「F6」は基本、両手で4つのボタンを押さなければいけません。「F6」のボタンはコンパクト化する上で、操作性に難が出てくるのは仕方がないですよね。
「F6」も慣れてしまえば難しくありませんが、片手で操作できる「F8n Pro」の方が明らかに使いやすいです。
「F8n Pro」は各チャンネルの設定をする際も、
・チャンネルごとにマイクへモニターする時
・RECのオンオフ
などもサッと簡単にできます。
Bluetoothによるタイムコード同期
ZOOM社のフィールドレコーダーのいいところは、タイムコードの同期がレコーダーの機能に入っていることです。
この青い機器は、Bluetooth接続でタイムコードを同期させるツール「UltraSync Blue」です。
今この動画の撮影では、上部と横の2台のカメラと「F3」は、「UltraSync Blue」が発信するタイムコードで同期しています。
「F3」「F6」の2台は、タイムコード同期する際にBluetoothユニットを別途付ける必要があります。
一方、「F8n Pro」にはBluetoothレシーバーが本体内に入っているので、すぐに接続が可能です。
この場合は「F8n Pro」と「F6」を「UltraSync Blue」とBluetoothで起動して、別のマイクを入れればタイムコード同期ができるようになります。
「F6」のみで同期させる場合は、Bluetoothユニットをレコーダーの台数分購入すればできます。ただ「F6」ではBluetoothユニットがむき出しになっているので端子部分に衝撃などを受けやすいです。
どちらかを選ぶ場合は、Bluetoothユニットがボディに内蔵されている「F8n Pro」の方が安心感があります。「F8n Pro」だったらBluetoothユニットの予備はなくても1台で済む、というのも良いですよね。
これから”フィールドレコーダーを映像と合わせて、別途でレコーダーを別収録する”という使い方をしたい方は、タイムコード同期ができるこれらのレコーダーが非常は非常に楽です。
これから買うならどれが良いか
入出力数が要らない人は「F3」
「F3」は、
・収録時にタイムコード送信が不要
・収録時にヘッドフォンでの確認が不要
・コンパクトさがほしい
・安価
・「F3」の設置場所が手元ではなく舞台側に置いて回しっぱなしにする時
などに適していると思います。
僕もYouTubeを収録する時にこれを使っています。
6チャンネルで十分な人は「F6」
「F6」は、
・ワンオペ作業
・複数の入力数が必要
などに適していると思います。
カメラの下にマウントさせるアダプターも同梱されています。
「F8n Pro」
「F8n Pro」は、
・現場差杖が分業になっている(映像は映像、音声は音声…など)
・出力の安定性がほしい
・SDカードをバックアップが必要
・タイムコード同期したい
・収録中にカメラにタイムコードを送信できる
などに適していると思います。
最近のミラーレスカメラはXLRユニットをホットシューに接続できるものもたくさんありますが、レコーダーは別にすることによって音声収録のクオリティーが上がります。
映像は映像で、音声は音声という時は別途レコーダーを用意しないといけません。
そんな場合に、この価格帯では非常に安価で手に入りやすいですよね。
個人的には総合的に見て、ZOOM社のレコーダーが価格帯と使いやすさ、機能のバランスが良いと感じています。
まとめ
「F6」を買う時に、”「F8n」が32bit float収録が可能になったらいいな”と思っていたら、その後に急に発売されて、”最初のロット逃すと本当に買えない”と噂だったので、急いで色々問い合わせてギリギリ購入できた、という経緯があります。(執筆現在でも中々入手できないみたいです)
今回紹介した機材
【執筆者紹介】
近藤将人
合同会社ジーン代表
VR 映像クリエイター
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